手術前から手術直後まで 脳腫瘍闘病記(5)

「手術」でフリー素材を検索すると結構グロいのが出てきて困る

さて、前回は夫自慢の記事をUPしてしまいましたが、今回はちゃんと闘病記っぽいものです。

わたしが自宅で倒れて病院へ運ばれたのが2017年10月8日(日)の深夜。手術は10月16日(月)午前9時半からでした。

手術についてのわたしの疑問

前日だったか前々日だったか忘れましたが、麻酔科の先生や手術室の看護師さんが、それぞれ麻酔や手術についての説明をしに病室まで来てくれました。

「手術について聞いておきたいことありますか?」と聞かれたので、わたしは主治医に説明を受けたときからずっと気になっていたことを聞きました。

「あの、手術中にMRIを撮るって聞いたんですけど、そのときわたしの頭ってパカッと開いたままなんですか!?

他に聞くことないのか、という感じですが、ずっと疑問だったんですよ…。

麻酔科の先生にも看護師さんにも同じ質問をぶつけてみましたが、結論として、「MRIを撮るときは頭を仮に閉じます」とのことでした。頭を仮に閉じるって、どんな状態なんでしょうね?

 

手術前日!「ドキドキして眠れない」とは無縁のわたし

前日の午後9時までは食事OK。水分は当日午前7時までOK、という指示でした。(全身麻酔の場合、麻酔中に嘔吐して窒息したりするリスクを減らすため、食事が制限されるのです)

「手術の前夜、眠れない場合は眠剤をお渡しできます」と説明の紙に書いてあったのですが、「どうせ手術の日は午前9時半から10時間も麻酔で強制的に眠らされるんだから、別に眠剤もらってまで寝なくてもいいよな…眠れなかったらツイッターでしょうもないことをいっぱいつぶやこう」など思っていたわたし。

結果的にその心配は杞憂に終わりました。わたしはいつでもどこでもぐっすり寝られるタイプで、眠剤などなくても普通に午後9時半から朝の5時45分くらいまでぐっすり眠ったのです。

翌日頭パッカンされるというのに、我ながら呑気なものです。

 

手術当日の朝したこと

  • 水を飲む(7時以降は飲めない、と言われるととりあえず飲んでおきたくなるのが人間ってもの…)
  • 弾性ストッキング(血栓予防のためのきつめの靴下みたいなもの)を履く
  • 7時になったら痙攣止めの粉薬&手術中に腫瘍を光らせる「アラベル」という薬を看護師さんが持ってきてくれ、それを内服。アラベルはちょっとすっぱいような、不思議な味でした。その後は完全に絶飲食。

あらかじめ指示されていた上記のことを少しずつこなしているうちに、先生(執刀医)が部屋に来て、なにやらわたしの頭に丸いシールをぺたぺたと貼っていきました。おでこやこめかみ、そして写真ではわかりませんが頭頂あたり?にも何枚か貼られました。その際、シールを貼る部分の髪の毛をちょこっと剃られました。こんな感じ。

このつぶやきでは「CT?のときのマーキング用のシール」と書いていますが、いま考えるとこれはCTではなく、「術中ナビゲーション」の準備のために手術直前に撮ったMRI用だったのでは、と思います。(あくまでも推測ですが)

以前の記事で少し触れた「術中MRI」に加え、最近の脳外科、とくに脳腫瘍の手術では「術中ナビゲーションシステム」という技術が使われることが多いようです。

これは手術の前にMRIもしくはCTを撮り、その情報と最新鋭のシステムとをどうにかこうにかすることで、術者が触れているのは患者の脳のどのあたりか、大切な神経などがどこにあるか、ということがリアルタイムでわかるようになるすんごい技術らしいです(ライターとして完全にアウトな文章ですみません)。

まあとにかくそんな感じで頭にシールを貼られ、きつめの靴下を履いたわたしは家族(夫と母)に見送られ、病室から車いすで手術室へ運ばれていったのでした。

 

手術直前の看護師さんの言葉

手術室の看護師さんがわたしを手術室へ連れて行ってくれたのですが、その時に「手術中にもMRIを撮るって聞きました~」と何気なく話したところ、看護師さんは真面目な顔で「そうなんです、手術中にMRI撮れるのは県内でもここだけなんです。鞠さんのような病気の方にはとても有効な技術なんですよ」というような返答をくれました。

その時までわたしは「術中MRI」についてはあまり深く考えていなかったのですが、その看護師さんの話を聞いて「うおー、この病院すっごーい!わたしってなんてラッキーなんだ!」と思い、幸先がいい気分に(勝手に)なったのを覚えています。そう、わたしはかなり単純なんです。

手術室併設のMRI(おそらく術中MRIとしても使われるもの)でまずはMRIを撮り、その後ベッドに横になりました。

「眠くなる薬を入れますよ~」とのことですでに腕にとってあるルートから薬がチューっと入れられ、すぐに眠くなり、意識が遠のきました。

ちなみに、術前の説明の紙には「手術は伏臥位で行います」と書かれていました。麻酔が効いたあとにゴロンと転がされたのでしょう。当然記憶にはありません。

 

手術、無事終了

終わったよー、という先生の声でうっすら目を開けたわたし。(その時はもちろん仰向けでしたよ)

体感的には1~2時間眠っていたような感じです。

「今ね、夕方の6時。もう手術終わったからね。ちょっと僕の手を握ってみて」

さらに先生の声が聞こえました。手の動きの確認のためでしょう。

わたしは先生の手をぎゅーっと握りました。違和感もなく普通に両腕が動きました。ほっとしました。

手術には10時間ほどかかる、と聞いていたため、終わるのは午後7時半~8時くらいかな、と思っていたのですが、まだ6時。ということは、比較的順調に進んだ、ということかな? と冷静に頭を巡らせました。

そして最初にわたしが言ったのは

「うまくいきましたか?」

ストレート! でもまあ患者としては気になるじゃないですか。

「うまくいったよー。きれいにとれたよー♪」

本当に語尾に「♪」がついて聞こえたほど、先生の口調が楽しそうだったので、手が動いたときよりもさらにさらに、ほっとしました。

次に私の口をついて出た言葉は

「夫が…夫がすごく心配してると思うので…うまくいったって、伝えてください」

言いながら半泣きでした。

手術を受けている妻を9時間も待っていた夫の気持ちを考えると、一刻も早く「おーーい! 手術、うまくいったってーーー!!!」と報告したくて、駆け出していきたい気分だったのです。

実際はいろんな管につながれていましたから、当然駆け出せないんですけど。

わたしの形相が必死だったからなのか、その後何回も「もうすぐ旦那さんに説明に行くからね」「旦那さんのところに行ってくるね」「今ちゃんと伝えてきたよ」とこまめに伝えてくれた先生…ありがとうございました。好きです。

わたしの記憶では「夫に伝えてくれ」って1回だけ言ったつもりなんですが、もしかしたら朦朧とした意識の中で必死の形相で何度も何度も言ってたのかも、と今となっては思います。ほんとすいません。

その後ICUに運ばれ、夫と母が面会に来てくれました。「術後どんな状態でもとりあえずわたしの様子を写真に撮ってくれ」とお願いしてあったのでふたりともスマホでわたしの写真を撮り、看護師さんにちょっと怒られてました。ほんとすいません(2回目)。

夫がベッドの横に来たのが見えたので、わたしは口を開きました。

「頭痛い…」

頭を開く手術だったので当たり前ですが、頭がものすごく痛かったんです。

それに対する夫の答えは

「…それ、もしかして『割れるように痛い』ってやつ? 頭割ったんやから当たり前やん 笑」

でした。普通に考えてひどくないですか!!

その時はさすがに言い返す元気がなかったのですが、90の婆さんになってもずっと根に持って、なにかのたびにチクチク言ってやろうと心に決めました。

そしてさっきから気になっていたことを夫に聞きました。

「先生、うまく行ったよ、って。きれいにとれた、って。…でもこれ、患者を安心させるため?

「笑 違うと思うよ、俺らにもちゃんと『きれいに取れた』って言ってくれてたよ」

ここでさらにほっとしました。実は先生に「うまくいった」と言われてほっとした直後、「手術後の患者を動揺させないように、とりあえず『うまくいった』と言うことになっているのではないか…」と謎の疑心暗鬼に陥っていたのです。(翌日母にこのことを伝えたら「そんなことばかり考えてたら、脳腫瘍とか関係なく早死にするよ」って言われました)

「先生、あんなに長い時間手術したあとなのにめちゃくちゃ元気だった。俺、午前中仕事しただけでぐったりするのに」

と夫が驚いた顔で言っていたので笑ってしまいました。

外科医はやっぱり手術となるとアドレナリンがガンガン出るのかもしれないですね。

先生、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました! ここ読んでないと思うけど。

 

思ったより長くなってしまったので「術後(in ICU)編」は次回に続きます。