脳腫瘍とわたしと娘、母とわたしと脳腫瘍 脳腫瘍闘病記(3)

長女が「病院でさびしくないように」と持たせてくれたピンクのクマ

ググるな危険

医師の説明が終わって家族が自宅へ戻り、病室にひとりになったとき、あまり深く考えずにスマホのブラウザに「神経膠腫」と打ち込み、なんとなく情報を検索をしてみました。

「ネット上に載っている適当な医療情報は基本的に信用に値しない」というのはwebライターとしての常識のはずなのに、ググってしまったのです。

まあ出てくる出てくる、悲観的な情報!! いいことどこにも書いてない!!!

たまたま見たサイトには「神経膠腫 グレード3の5年生存率は25%」などと書いてあり、それを見た時点でそれ以上検索するのをやめました。

この数字はかなり古い情報で、現在はこれよりもかなり高い数字が出ているようです。これについてはまた別記事で書きますが、まあいずれにせよ、「5年生存率」という言葉が出てくること自体、病気が深刻であるということのあらわれである、ということくらいは素人にもわかります。

その時まず最初に考えたのはやはり、小さな2人の娘たちのことでした。

わたしと娘たち

長女はもうすぐ6歳。来年小学校に上がります。運動神経にやや不安がありますが、読書家で、教えてもいない漢字を普通に読めたりする賢い子です(親ばか)。いまは「かいけつゾロリ」にドハマり中。ゾロリと結婚したいけど、同じ保育園のハルくんとも結婚したい、複雑なお年頃です。

イヤイヤ期まっさかり、驚くほどの傍若無人っぷりで家族を振り回している次女は来年1月で3歳。「じじょ、かわいいからほいくえんでおこられないの」などとのたまう、天使か悪魔かわからない存在です。良くも悪くもマイペース。

わたしは決していい母親ではありません。すぐ怒るし、家事も適当です。そんなわたしでも

「わたしが死んだら、娘たちは『母がいない子』になってしまう」
「今後の娘たちの成長を見ることができないかもしれない」

そう思うと次から次へと涙が出てきて、金曜日の夕食は泣きながら食べました。(それでも「食べない」っていう選択肢はないのがわたしです)

今でこそいろいろ調べてすっかり前向きな気分になっていますが、その時は術中MRIのこともあまり詳しくわかっていませんでしたし、ネットで見かけた5年生存率の数字が古い情報であることにも気が付いていなかったので、とにかくめそめそしていました。

子どもの存在が母を強くしてくれる

土曜日と日曜日には夫が娘たちを病院に連れてきてくれ、倒れてから初めて娘たちと会うことができました。

わたしが先日買ったおそろいのピンクの服を着てニコニコと会いに来てくれた娘たちの笑顔に癒され、また同時に「泣いている場合ではないし、ましてや死んでいる場合でもない、わたしはこの子達のために生きなければ!」という”戦うモード”に気持ちが切り替わっていきました。子どもの存在は本当に大きいです。

前々からわたしの母が「長女にランドセルを買ってあげたい」と言ってくれていたので、病院の近くのお店で母が長女にランドセルを買ってくれました(変なタイミングですが、この時を逃すとチャンスがなさそうだったので)。「ランドセルは薄紫!」とずっと主張していた長女でしたが、結局ピンクを選んだようです。

夫がLINEで送ってくれた、ランドセルをちょっと誇らしげな顔で背負った長女の写真を見たとき、自分でもびっくりするくらい泣きました。同時に「卒園式と入学式に必ず行きたい」と思いましたし、その後の娘たちの人生もしっかり見届けなくては、という気持ちがさらに強まりました。

母であるわたし

もちろん自分に悪性の脳腫瘍がみつかったことにはとてもおどろきましたし、ショックでした。というか今もショックです。できることならこんな病気にはなりたくなかったですし、どうしてわたしが? という気持ちも当然ずっと抱えています。

しかし一方で「この病気になったのが娘たちじゃなくて本当に良かった」という安堵の気持ちもとても大きいのです。

大変な手術も、その後の治療も、わたし自身はいい年ですし、もろもろの理屈もある程度はわかりますから、きっとどうにか耐えられます。

でもこの苦痛を娘たちが味わうことになったら…と思うと、それだけで胸が締め付けられます。そういった点では「わたしでよかった」と心の底から思えるので、親って本当に不思議です。

娘であるわたし

ただ、「娘じゃなくてよかった」と思ったことで、気が付いたことがあります。

わたしは娘たちの母ですから「病気になったのがわたしでよかった」と思うわけですが、わたしの母からしてみたらまさに「実の娘が脳腫瘍になった」という状態なんですよね。

それに気が付いたとき、「わたしは絶対に母より長生きしなくてはならない、順番を守らなければならない」と別方向からも気が引き締まりました。

わたしの母、肝臓にちょっとした持病はあるもののそれ以外は基本的に元気ですし、わりと長寿の家系なのでけっこうしぶとそうです。負けずに頑張ります。

 

さて、次は術前・術後編に入る予定です。