目覚めたら、脳腫瘍~2児の母ライター鞠ようこの脳腫瘍闘病記(1)

わたしの主治医は人間ですよ

 

「目が覚めたら病院のベッドの上だった」

こんな文章、よく小説なんかでは目にしますよね。ただ、実際にこのような状況に陥った人はあまり多くないでしょう。先月まさにこの状態に陥ったわたしの感想を一言でいうと

「意味が分からなすぎて夢かと思った」

です。

 

倒れてから目覚めるまで

まずは経過を説明しましょう。

といっても目が覚めるまでの話はすべて夫などに聞いた話をつぎはぎで集めたものなので、時間軸がすこしずれたりしているかもしれません。

 

2017年10月8日の夜、わたしは自宅で意識を失って倒れ、救急車で近所の総合病院へ運ばれました。

症状的に脳出血が疑われCTなどの検査を受けたものの、出血は見当たらず、「脳腫瘍の疑いがある。この病院では診られないのでもっと大きな病院へ」との診断。

そこから高速で2時間ほどの大きな病院まで再度救急車で運ばれました。夜間だったので救急車でしたが、昼間だったらドクターヘリだったそうです。(ドラマのようにかっこいいわけではないことは百も承知ですが、でも正直なところちょっと乗ってみたかった…意識なかったけど…)

そして、痙攣を止めるため(もっとも痙攣していたのは最初のうちだけで、病院についたころは痙攣は止まっていたそうです)&脳の浮腫を落ち着かせるため?に麻酔で2日半ほど眠らされていました。

眠っている間にいろいろな検査を受け、やはり脳腫瘍であろう、という結論になったようです。

麻酔で眠っている間は人工呼吸器をつけていたのですが、2日目くらいに人工呼吸器を使ったことによる肺炎を併発。その治療のため、少しずつ麻酔を抜き、人工呼吸器を外し、わたしは少しずつ意識を取り戻した、というわけです。

(ちなみに肺炎は勝手に治ったのか何なのかわかりませんが、特に何らかの治療をされた記憶はありません)

夢だとしか思えなかった

さて、わたしは嫌な夢や怖い夢を見ているときに「あ、これ夢だ」と気づき、自分の目を覚まさせてその夢を強制終了することができる、というわけのわからない特技を持っています。

その時、どう考えてもわたしは病院のベッドに寝ていたのですが、心当たりも全くなく、どうにもうすら寒い気分になったので「あ、そうかこれは夢か」と判断して上記の特技を使おうとしようとしました。

しかし何度目覚めても同じように病院のベッドに寝ています。おかしいな、いつもと勝手が違うな、と思いました。

そんなことを何度か繰り返すうちに頭のモヤのようなものがすこしずつ取れてきて頭を動かすと、マスクをした夫がいるのが見えました。「ねえ、これ、夢?」となんどか夫に尋ね、夫が困ったような顔をしていた記憶があります。

目覚めてから数日はひたすらぼんやりしていた

2日以上も麻酔で寝ていたわけですから、すぐにシャッキリ目が覚める、ということはなく、たまに目が覚めるが基本的にうとうとしている、というような状態だったようです。

その合間を縫って夫が

  • 日曜の夜、わたしが突然痙攣して倒れたので救急車を呼んだこと
  • 今は水曜日の午後であること
  • ここは〇〇病院(自宅から2時間ほどの大きな病院)であること
  • ババ(札幌在住のわたしの実母)もこの病院に来ていること(夫が連絡してくれた)
  • わたしには脳腫瘍があり、来週月曜日に手術で摘出予定であること
  • 摘出後放射線治療などをする可能性があること

をざっくりと教えてくれました。

わたしは自分が倒れたという自覚すらなかったですし(「子どもたち寝かせたしリビング行ってテレビでも見るか」と思った、くらいまでで記憶が途切れている)、頭痛や痙攣などの前兆もそれまで一切なかったので、寝耳に水もいいところでした。

それでもパニックにならずに比較的スッと受け入れられたのは、麻酔が抜けきっていなくてぼんやりした状態だったからかもしれません。「頭の手術に放射線治療…髪の毛なくなりそうだな…」と思ったのは覚えています。

木・金はMRIを撮ったり脳波の検査?をしたりしました。食事も少しずつとった気がしますが、オレンジのゼリーを食べたことくらいしか覚えていません。

脳波の検査の時、「準備の間座っていられますか?」と聞かれて「はい、大丈夫です、つらくないです」と言ったものの、背もたれがないところで座位を保てずズルズル…と横に崩れてしまいスタッフさんを困らせてしまいました。

「患者さんはえらくない(「辛くない、大変じゃない」という意味の方言)、って言ってるんですけど、座れないみたいで…」とスタッフさん同士が話しているのが聞こえました。まだ麻酔が残っていて体が思い通りに動かなかったんだと思います。

また、MRIの時は、技師さんにいろいろ説明されたんですが、最終的に「…まあ、寝といてもらえばいいですからね」と言われました。説明の時相当眠そうにしてたんだと思います。

そんな感じでただただぼんやりしている間に術前の検査などは終わり、麻酔もだいぶ覚めてきた金曜日の夕方、家族(夫と母)と一緒に検査結果と治療方針などの話を聞くことになりました。その話はまた別記事で。

余談

わたしが眠っている間、医師が夫や母にわたしの状況などを説明してくれた際、母が専門的な質問ばかりするので「医療関係者ですか…?」と警戒されたそうです。

母は今でこそ麻雀ババア、おっと、趣味でしょっちゅう友人と麻雀を楽しむ未亡人(父は4年前に亡くなっています)ですが、元養護教諭で、看護師の資格もあります。また、母の妹は現役で脳外科の看護師をしています。そんなこともあって中途半端に知識があるんですよね。病院からしたら一番嫌なタイプの「患者の家族」だと思います。すみません。

母には「脳の手術の時は丸刈りにされるんだよー。ヒヒヒ」などと脅されましたが、それは一昔前の話で、いまは切る部分だけを剃ることがほとんどだそうです。わたしもそうでした。一部だけを剃ったことで落ち武者みたいになりましたが。